N2文法

N2文法 ~得る/~得ない

~得る/~得ない

意味

「そうすることができる/できない」「そうなる可能性がある/ない」という意味を表す。

例:あり得る、なり得る、起こり得る etc.

接続

Vます+得る/得ない

解説

「そうすることができる/できない」「そうなる可能性がある/ない」という意味で、書き言葉的表現です。
辞書形の場合「える」「うる」の二つの読み方があります。その他、否定形「えない」、過去形「えた」のように、読み方は一つだけです。
「える」と「うる」を比べると、「うる」の方が文語的表現です。
基本的に意志動詞と接続する場合は「そうすることができる/できない」、無意志動詞と接続する場合は「そうなる可能性がある/ない」と言う意味となります。

可能形の場合は「意志動詞」にしか接続しませんでしたが、この文法は一部の「無意志動詞」にも接続できます。
「無意志動詞」で接続できる動詞は限られていて、「あり得る」「起こり得る」「わかり得る」「なり得る」「でき得る」などがよく使われます。

二つに分けて意味を確認していきましょう。

意志動詞

「そうすることができる/できない」という意味を表します。

わずかな時間で考え得るアイデアを考えたが、どれも認めてもらえなかった。
こんなコンディションで新記録が出るなんて、誰もが想像し得なかった

この場合、「可能形」や「~ことができる」に置き換えることが可能です。

わずかな時間で考え得るアイデアを考えたが、どれも認めてもらえなかった。
わずかな時間で考えられるアイデアを考えたが、どれも認めてもらえなかった。

こんなコンディションで新記録が出るなんて、誰もが想像し得なかった
こんなコンディションで新記録が出るなんて、誰もが想像できなかった

補足

状況的に「できる/できない」を判断する文法なので、単純に能力の「できる/できない」では通常は使えません

彼はアメリカに五年住んでいたので、英語が話し得る

彼はアメリカに五年住んでいたので、英語が話せる

ただし、文語的で硬い文の場合、一部の動詞で能力の「できる/できない」を表すことも可能です。

この数式は天才と言われている彼でさえ解き得ないものだった。

無意志動詞

「そうなる可能性がある/ない」という意味を表します。
先に記載した通り、「あり得る」「起こり得る」「わかり得る」「なり得る」「でき得る」などがよく使われます。
通常、本文法は話し言葉ではあまり使われませんが、「あり得る」「あり得ない」は多用されています。

彼が試験に合格できなかったなんて、あり得ない
誰にでも奇跡は起こり得るから、最後まで諦めるな。

この場合、「可能形」や「~ことができる」に置き換えることはできません。
「~可能性がない」「~はずがない」と置き換えが可能です。

彼が試験に合格できなかったなんて、あり得ない
彼が試験に合格できなかったなんて、あるはずがない

誰にでも奇跡は起こり得るから、最後まで諦めるな。
誰にでも奇跡は起こる可能性があるから、最後まで諦めるな。

補足

「言い得て妙」という慣用表現があります。

言い得て妙

「物事を的確に言い当てている」という意味で相手が言った言葉に対して同意したときに使う褒め言葉。

君の発言はまさに言い得て妙だ。
色々な人が集まっている学校のことを動物園と表現するなんて、言い得て妙だ。

補足

文法表現として「~を禁じ得ない」という言い方があり、「~を我慢することができない」という意味です。

N1文法 ~を禁じ得ない 意味 感情が心から湧いてきて自分の意志では抑えられない様子を表します。 例:怒りを禁じえない、喜びを禁じ得ない、同情を禁じ得ない ...
意志動詞と接続する場合は「そうすることができる/できない」、無意志動詞と接続する場合は「そうなる可能性がある/ない」という意味を表す。
 

 

対比文法

準備中

例文

意志動詞

事故の状況を知り得る限りの情報を提供してください。

人がいつ死ぬかなんて、誰にも予測し得ない

このプロジェクトの成功は皆の協力がなければ、実現し得なかった

無意志動詞

試験に合格するために、でき得る努力は全てした。

あいつに彼女ができたなんて、そんなの絶対あり得ないよ。

彼は将来国を代表する人間になり得る素質を持っている。

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