概要
旅行の予定が決まったら、楽しみになって必要なものを揃え始めると思います。
旅行のプランを立て、バッグに荷物をつめる。
さて、それは「準備」「用意」「支度」のどれを使うのが適切でしょうか。
急にこのように聞かれると日本人でもすぐに答えるのは難しいですよね。
中華圏の学習者は、中国語にも「準備」という言葉があるのですぐに「準備」の意味はわかりますが、「用意」や「支度」はどうでしょうか。
多くの単語帳には「用意」も「支度」も中国語の「準備」と書かれています。
そのため、学習者にとっては違いがわかりにくい言葉なので、しっかりと使い分けできるように教えなければいけませんね。
意味
それでは、辞書に書かれている意味を確認していきましょう。
物事をする前に、あらかじめ必要なものをそろえたり態勢を整えたりして用意をすること。(小学館・デジタル大辞泉)
前もって必要なものをそろえ、ととのえておくこと。支度。
(小学館・デジタル大辞泉)
予定されている物事を実行するのに必要なものをそろえること。準備。用意。
外出するために身なりを整えること。身じたく。
(小学館・デジタル大辞泉)
解説
辞書にあるように、「準備」「用意」「支度」は、どれも「必要なものをそろえる」という意味で使われています。それでは、これらの3つの言葉はどのように使い分けられているでしょうか。
一つずつ確認していきましょう。
準備
「準備」は、「用意」「支度」に比べて広い範囲で使えるため、迷った場合には「準備」を使うと考えて良いでしょう。具体的なものをそろえるほか、企画や計画をすることも対象に含みます。「心の準備」のように、意識や態勢を整えることにも使用します。また、準備をした後に物事が実行されるまでの期間が短期から長期まで様々で、準備自体が長期的に行われることもあります。さらに、準備体操や試験の準備のように、結果として必要となるかは不確かであるが、一応そなえておくという使い方をすることもあります。
用意
「用意」は、「準備」よりも狭い使用範囲で、具体的な対象がある場合に使われることが多いです。そのため「準備」とは異なり、具体的な対象がない、「計画を用意」「心の用意」とは一般的に言いません。また、何週間、何ヶ月も先のことに対して、用意するという表現にはあまり使われず、用意した後の行動がすぐに起こることが予想されています。行動の直前に用意をするため、通常実際に必要となることがわかったうえで用意するので、結果として不要になることはあまりありません。
支度
「支度」は、主に衣服や食事、荷物に対して使用され、より限定的な表現として使われます。「準備」「用意」よりも、必要なものを揃えてから物事を実行するまでの時間が短いことが特徴です。「準備」「用意」が必要なものを揃える経過や過程のことを指す場合があるのに対し、「支度」をした場合には、直後に行動ができるように状況を整え終えることが必要です。
それぞれの違いのまとめ
上記に書いた内容を改めて以下にまとめてみます。
具体的なものを揃えるだけでなく、企画や計画をすることも含む。
意識や態勢を整えることにも使用できる。 例:心の準備
準備自体が長期になることが多く、準備が完了してから物事が実行されるまでの期間は短期、長期さまざま。
実際に必要になるかどうかはわからず、結果として不要となることもある。
具体的な対象がある場合に使われる。
用意が完了してから物事が実行されるまで短期間。
実際に必要になることが分かった上で用意するため、用意が不要になることはない。
具体的な対象がある場合に使われる。
支度が完了してから物事が実行されるまで短期間。
実際に必要になることが分かった上で用意するため、用意が不要になることはない。
運動会を例に挙げて比較してみましょう。
「準備」=どのようなスケジュールで運動会を行うのかといった企画から、道具や持ち物を揃えることまで、広く含みます。これらの準備は、運動会の数ヶ月前から行われるでしょう。
「用意」=前もって必要な道具を倉庫から出しておいたり、応援幕を作ったり、当日のために荷物を整えることなどをいいます。準備に比べ、より直前に行われることを指します。
「支度」=身なりを整えることや持ち物の確認などが考えられます。当日や前日に行うことがほとんどです。
例文
準備
準備をする。
クラスメイトと放課後に文化祭の準備ができていない。
予想外の出来事だったので、まだ心の用意
用意する。
午後の会議に向けて、急いで資料を用意させていただきました。
イベント参加者の皆様に、お食事をご支度
支度を始めた頃には、外は暗くなっていた。
帰りの支度をしなさい。
もう出かけるから、早く