N4文法

N4文法 ~なら

~なら

意味

前件がある要因・きっかけとなって、後件を制約する「条件文」を作る文法の一つです。

「条件文」を作る文法で代表的なものは「と」「ば」「たら」「なら」ですが、それぞれに特徴があります。しかし、関西では「たら」が比較的多く使われるなど、出身地によって使い方が異なるので、日本語ネイティブでも自身の使い方が多数派でない場合もあります。この点は予め注意するようにしてください。

接続

V普+なら
i-A普+なら
Na普+なら
N普+なら

解説

話し言葉でも書き言葉でもどちらでも使えます。
相手の話を受けて話し手の判断、命令、希望、意志を言う時によく使われます。「なら」の前には「辞書形」「た形」どちらも接続できるのも特徴です。
相手の話を受けるというのは以下のような形です。

A:台湾料理が食べたいな。 B:台湾料理が食べたいなら、池袋にいいお店があるよ。
A:転職したいな。 B:転職したいなら、良い仕事を紹介するよ。

条件文を考える場合、「非過去」「過去」かに分けて考えると整理しやすいです。

ただし「なら」は基本的には「過去」の文には使うことができないと覚えておきましょう。

非過去

非過去の文での用法は以下です。

主題

名詞と接続して主題を表す「は」と置き換えができます。
「なら」には「Nが主題ということならば」という仮定の意味が含まれていますが、「は」にはその意味はないので、置き換えた場合意味が少し異なります。

時間なら、大丈夫ですよ。
野球なら、日本が一番強い。

仮定条件

相手の発言やその場の状況が「事実であれば」と仮定し、自分の意見を述べたり、相手に忠告したりする場合によく使われます。
このような場合は「のなら」(話し言葉では「んなら」)が使われることが多いです。

そんなに学校が好きじゃない(の)なら、退学すればいいよ。
コンビニに行く(の)なら、雑誌を買ってきてくれないですか?

補足

「のなら」「なら」の違いについて整理します。

「のなら」・・・ある「前提」「状況」がある。

コンビニに行くのなら、雑誌を買ってきてくれないですか?

相手がコンビニに行くと話していたり、行こうとしている状況が確認できています。

「なら」・・・「仮にそうする場合は」という意味で前提や状況がない。

コンビニに行くなら、雑誌を買ってきてくれないですか?

前提はなく、いつかわからないけど「そうする場合があれば」という意味になります。

補足

名詞とな形容詞の辞書形に接続する場合は「の」は使われません。

風邪のなら、帰った方がいいよ。
そんなに学校が嫌のなら、退学すればいいよ。

風邪なら、帰った方がいいよ。
そんなに学校が嫌なら、退学すればいいよ。

反事実条件

もし事実が反対なら実現するはずのことを述べる表現です。すでに実現してしまった事柄を述べる場合と、実現が不可能なことが明らかなような場合に使われます。
文末が辞書形の場合は、現状と違うことを望んだり、現状を嘆いたりする場合に使います。

もっとお金があるなら、この時計が買えるのに。
彼女がいるなら、今日のクリスマスはもっと楽しいんだけど。

上記のように、前件(「お金がある」「彼女がいる」)、後件(「時計を買う」「楽しい」)がどちらも事実に反していて、かつ時間の流れも「前件→後件」である場合は、「たら」「ば」と置き換えることができます(「と」は反事実の用法は使えません)が、以下のような文の場合は置き換えができません。

前件が事実、後件が事実に反する場合

連絡くれるなら、もっと早くしてほしかった。

前件の「連絡をくれたこと」は事実なので、このような場合は以下のように「たら」「ば」と置き換えができません。

連絡くれたら、もっと早くしてほしかった。 
連絡くれれ、もっと早くしてほしかった。 

先に「なら」は基本的には「過去」の文には使えないと記載しましたが、上記の例文のように「反事実条件」の場合は「過去」の文に使うこともあります。
後件→前件の場合

海外に旅行するなら、パスポートを取得する。

「パスポートを取得(後件)」→「海外に旅行する(前件)」なので、このような場合は以下のように「たら」「ば」と置き換えができません。

海外に旅行したら、パスポートを取得する。 
海外に旅行すれ、パスポートを取得する。 

ポイント

他の条件を表す文法「と」「ば」「たら」との違いを理解するために、「なら」の特徴を整理します。

時間的前後関係を必要としない

前件と後件に時間的前後関係が必要としないので、前件と後件が同時に発生したり、後件→前件の流れになる場合も使えます。
「と」「ば」「たら」は時間的前後関係を必要とするので、前件→後件の流れの場合しか使えません。

夏休みに旅行に行ったら、沖縄がいいですよ。
夏休みに旅行に行け、沖縄がいいですよ。
夏休みに旅行に行く、沖縄がいいですよ。

夏休みに旅行に行くなら、沖縄がいいですよ。

一般条件として使えない。

自然に、または当然起こる条件(一般条件)には使えません。
「と」「ば」は一般条件として使えます

春になる、桜が咲きます。
春になれ、桜が咲きます。

春になるなら、桜が咲きます。

「たら」は話し言葉なら一般条件でも使えますが、「と」「ば」の方が自然に使われます。

意志表現が使える

文末に意志、勧誘、依頼、命令などの表現が使えます。
「と」「ば」は文末に意志表現が使えません。

日本に行くなら、一緒に観光しましょう。
日本に行ったら、一緒に観光しましょう。

日本に行く、一緒に観光しましょう。
日本に行け、一緒に観光しましょう。

「ば」は主語が異なる場合や、前件が状態性を表す言葉が来る場合は意志表現を使うことができます。
詳細は以下の記事を確認してください。

N4文法 ~ば 意味 前件がある要因・きっかけとなって、後件を制約する「条件文」を作る文法の一つです。 接続 「ば形」の作り方 辞書...

終助詞として使えない

文末に使うことができません。
「ば」「たら」は終助詞として使えます。

A:夏休みはどこに行こうかな。 B:沖縄に行くなら
A:夏休みはどこに行こうかな。 B:沖縄に行く

A:夏休みはどこに行こうかな。 B:沖縄に行ったら
A:夏休みはどこに行こうかな。 B:沖縄に行け

対比文法

vs ~と vs ~ば vs ~たら

文法の違い「~と」vs「~ば」vs「~たら」vs「~なら」 意味 前件がある要因・きっかけとなって、後件を制約する「条件文」を作る代表的な文法を比較します。 4つの文法を使った例文を確認してみ...

参考文法

~と

N4文法 ~と 意味 前件がある要因・きっかけとなって、後件を制約する「条件文」を作る文法の一つです。 接続 Vる/ない+と i-Aい/ない+...

~ば

N4文法 ~ば 意味 前件がある要因・きっかけとなって、後件を制約する「条件文」を作る文法の一つです。 接続 「ば形」の作り方 辞書...

~たら

N4文法 ~たら 意味 前件がある要因・きっかけとなって、後件を制約する「条件文」を作る文法の一つです。 接続 Vたら/Vなかったら i-Aたら...

例文

非過去

主題

お酒なら、日本酒でしょう。

日本を代表する観光地なら、京都だよ。

仮定条件

頭がいたいのなら、薬を飲んだ方がいいよ。

本当のことを知っているんなら、教えてよ。

反事実条件

彼がパーティーに来るなら、私は来なかったのに。

勉強するなら、他の場所でしてほしい。

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