意味
前件がある要因・きっかけとなって、後件を制約する「条件文」を作る文法の一つです。
接続
「ば形」の作り方
辞書形 | ば形(肯定) | ば形(否定) | ||
動詞(V) | 1グループ | 行く (ik-u) | 行けば (ik-eba) | 行かなければ (ik-anakereba) |
2グループ | 食べる (tabe-ru) | 食べれば (tabe-reba) | 食べなければ (tabe-nakereba) | |
3グループ(くる) | くる | くれば | こなければ | |
3グループ(する) | する | すれば | しなければ | |
い形容詞(i-A) | 大きい | 大きければ | 大きくなければ | |
な形容詞(Na) | 元気 | 元気ならば | 元気じゃなければ | |
名詞(N) | 学生 | 学生ならば | 学生じゃなければ |
解説
書き言葉でややフォーマルです。
「条件文」を作る文法の一つで、後件の成立が望まれている文脈で、そのためにどんな前件が必要かを述べる文に特に使われます。
条件文を考える場合、「非過去」か「過去」かに分けて考えると整理しやすいです。
非過去
非過去の文での用法は以下です。
一般条件
恒常的に成り立つ関係(前件が発生すれば、いつも後件が発生)を表します。主に「自然現象」や「機械の操作」などに使われます。
ば、桜が咲きます。
このボタンを押せば、ジュースが出ます。
物事の本質をいう場合に使う「ものだ」と一緒に使われる場合も多いです。
ば、体力が落ちるものだ。
子供が生まれて親になれば、自分の両親の有難みがわかるものだ。
「諺(ことわざ)」で使われることが多いです。
一つ一つがわずかのものでも、数多く積もり重なれば大きなものになること。
何かをすると、思わぬ災難に遭うことも多いということ。出歩けば思わぬ幸運に出会うこと。
特別に頭の良い者でなくても三人集まって相談すれば何か良い知恵が出ること。
習慣・反復動作
現在の習慣や反復動作を表す場合に使われます。
「必ず」「いつも」「よく」など習慣や反復を表す副詞が一緒に使われることが多いです。
ば、仕事の文句を言ってくる。
父は天気がよければ、毎朝散歩をします。
仮定条件
実際の起こるかどうかわからない、未実現の事柄を表します。前件は未実現の場合とすでに実現している場合のどちらもあります。
ば、試合は中止になるだろう。
私がもっと可愛ければ、彼と付き合えたかもしれない。
後件は未実現の事柄を表すので、文末には「~だろう」「~かもしれない」「~はずだ」などの推量や予測の表現を使うことが多いです。しかし、話し手がある程度確信を持っている場合は、言い切った形で使われます。
反事実条件(非過去)
もし事実が反対なら実現するはずのことを述べる表現です。すでに実現してしまった事柄を述べる場合と、実現が不可能なことが明らかなような場合に使われます。
文末が辞書形の場合は、現状と違うことを望んだり、現状を嘆いたりする場合に使います。
ば、この時計が買えるのに。
彼女がいれば、今日のクリスマスはもっと楽しいんだけど。
問いかけ(前文に焦点)
後件の成立が望まれている文脈で、そのためにどんな前件が必要かを述べる場合に使われます。
ば、安くなりますか? B:3つ以上買えば、安くなります。
A:どこに行けば、その服が買えますか? B:原宿に行けば、買えますよ。
終助詞
終助詞として使うことができ、聞き手にある行動を進める場合に使います。話し言葉としてもよく使われます。
ば?
A:この服、私に似合うかな? B:着てみれば?
過去
過去の文での用法は以下です。
反事実条件(過去)
もし事実が反対なら実現するはずのことを述べる表現です。すでに実現してしまった事柄を述べる場合と、実現が不可能なことが明らかなような場合に使われます。
文末がた形の場合は、過去の事実とは異なる状況を過程して、その場合には違った結果になっていたということを述べる場合に使います。
ば、この時計が買えたのに。
彼女がいれば、今日のクリスマスはもっと楽しかったんだけど。
認識
「~ば」は前件、後件ともにすでに発生した過去の事柄を表す場合に使うことができませんが、「認識」を表す場合は過去の文でも使えます。
ば、自分が間違っていた。
噂ではとても怖い人だと聞いていたが、実際に会ってみれば、温厚な人だった。
過去の習慣
過去の習慣や反復動作を表す場合に使われます。
「必ず」「いつも」「よく」など習慣や反復を表す副詞が一緒に使われることが多いです。
ば、いつもサッカーをしていた。
彼女はお酒を飲めば、いつも泣いていた。
過去の回想を表す「ものだ」と一緒に使われる場合も多いです。
ば、母の実家によく行ったもんだ。
学校の帰り道に時間があれば、いつもこのファミレスで友達とご飯を食べたもんだ。
ポイント
他の条件を表す文法「と」「たら」「なら」との違いを理解するために、「ば」の特徴を整理します。
時間的前後関係を必要とする
前件と後件に時間的前後関係が必要となるので、前件と後件が同時に発生することには使えません。
「なら」は時間的前後関係を必要としません。
ば、沖縄がいいですよ。
夏休みに旅行に行けなら、沖縄がいいですよ。
夏休みに旅行に行く意志表現が使えない
文末に意志、勧誘、依頼、命令などの表現が使えません。
「たら」「なら」は文末に意志表現が使えます。
ば、一緒に観光しましょう。
日本に行けたら、一緒に観光しましょう。
日本に行くなら、一緒に観光しましょう。
ただし、以下の条件に当てはまる場合は、意志表現を使うことができます。
前件の状態性の品詞が使われる場合。
ば、エアコンをつけてください。
暑けれ前件と後件の主語が異なる場合。
ば、私も行くつもりです。
友達がパーティーに行け後文には望ましい事柄が来る
後文には望ましい事柄が来ることが多いので、悪いことには使われにくいです。
徹夜すれば、体調が悪くなります。
徹夜すれば、納期に間に合います。
終助詞として使える
文末に使うことができます。
「と」「なら」は終助詞として使えません。
と?
A:夏休みはどこに行こうかな。 B:沖縄に行くなら?
たら?
A:夏休みはどこに行こうかな。 B:沖縄に行けば?
対比文法
vs ~と vs ~たら vs ~なら
参考文法
~と
~たら
~なら
例文
非過去
一般条件
ば、体力は衰えます。
年をとれば、病院があります。
左に行け習慣・反復動作
ば、スマホのゲームをしている。
暇があれば、すぐに飛びついてくる。
うちのペットは、私を見れ仮定条件
ば、キャンプに行きます。
明日晴れれば、完治するでしょう。
手術をすれ反事実条件(非過去)
ば、もっといい大学に入れるのに。
もっと頭が良ければ、昼までゆっくり寝られるのに。
明日仕事が休みなら問いかけ(前文に焦点)
ば、日本語が上手になりますか? B:毎日日本語で話せば、上手になります。
A:どうすれば、コロナウイルスは終息しますか? B:一年ほど経てば、終息しますよ。
A:いつになれ終助詞
ば?
A:ちょっと熱があるみたい。 B:無理しないで早く帰れば?
A:最近太ってきたんだよね。 B:運動すれ過去
反事実条件(過去)
ば、きっと付き合えたのに。
あの日、勇気を出して告白していれば、就職できたのに。
有名な大学を卒業していれ認識
ば、意外と簡単だった。
日本語は難しいと思っていたけど、勉強してみれば、そんなに怖くなかった。
お化け屋敷は苦手だけど、入ってみれ過去の習慣
ば、必ずお土産を買ってきてくれていた。
私が子供の頃、父は出張に行けば、すぐにテニスをしに行っていたものだ。
学生の時は、授業が終われ