意味
「~もそうだが、それ以上に」という意味で、ある数量や程度が増したことを比較表現です。
例:去年にもまして、いつにもまして、前にもまして etc.
接続
N+にもまして
解説
「~もそうだが、それ以上に」という意味で、ある数量や程度が増したことを比較表現です。
主に前件は時間を表す言葉と接続します。
にもまして今年の夏は暑い日が続いている。
昨日にもまして今日は体調が悪い。
「AにもましてB」の形でAもBも~であるけど、その二つを比べたらBの方がより~であるという意味を確認しましょう。
格助詞の「より」を使った以下の文を見てください。
より明るい。
彼は普段この文の意味の捉え方は二つに分けることができます。
①「普段」と「今」を比べて「今」の方が明るいということ。(「普段」は暗いということも考えられる。)
②「普段」も「今」も明るいが、二つを比べると「今」は更に明るいということ。
「より」は上記の①と②のどちらも意味でも使うことができますが、「~にもまして」は②の意味でしか使えません。
では、以下の文はどうでしょうか?
にもまして明るい。
彼はとても大人しい性格だが、今日は普段「普段」も「今」も明るいという場合にしか使えないですが、とても大人しい性格だと書いているので普段は明るくないと予想できます。
そのため、この例文は正しくありません。
にもまして明るい。
彼はとても明るい性格だが、今日は普段明るい性格なので、普段も明るいということが予想できるので、この例文は正しいです。
「疑問詞+にもまして」の形も良く使われます。
「いつにもまして」「誰にもまして」「どこにもまして」「何にもまして」という形で、それぞれ「いつもよりも」「誰よりも」「どこよりも」「何よりも」という意味となります。
誰にもまして努力を続けて、チームで一番の実力者になった。
コロナウイルスの問題は何にもまして優先して解決しなければいけない問題だ。
「それにもまして」という形で、前文の事態より後文の事態の方が程度が増しているという使い方もできます。
それにもまして魅力的なのは誰にも好かれる性格だということだ。
社会人として遅刻するのは良くないよ。それにもまして良くないのは連絡をしなかったことだ。
最初に「主に前件は時間を表す言葉と接続します」と記載しましたが、時間以外の名詞と接続して使われている場合もあります。
例えば、「中上級を教えるひとのための日本語文法ハンドブック(スリーエーネットワーク)P200」では比較の文法の説明で以下のような例文が書かれています。
姉は食いしん坊だ。だが、兄は姉{〇より/✕と比べて/〇にもまして/〇以上に}よく食べる。
「兄」も「姉」も食いしん坊だが、「兄」は「姉」より更に食べるという意味ですね。
この例文のように、前件に人を表す名詞「兄」「父」「君」「君たち」などが接続している例文はいくつか見られるので、参考書やネットの記事に「時間を表す言葉」と接続すると書かれている場合があるが、必ずそうとは言えないかと思います。
対比文法
準備中
例文
にもまして実力がついている。
昨年の優勝チームは昨年にもましてお客様へのサービスを向上させていきます。
弊社は従来にもまして雨風が強くなっている。
台風が近づいてきて、昨日にもまして大切なことだ。
今年N1に合格することは、何にもましてやる気がみなぎっている。
彼はいつ