意味
この文法には大きくわけて以下の二つの意味があります。
「~しないでおくということは許さない、必ず~する」という話し手の強い「決意、意欲」を表します。
「あることによって自然にある状況や心理状態になる」という「自発」を表します。
例:逮捕せずにはおかな、謝らせずにはおかない、不安にさせずにはおかない、怒らせずにはおかない etc.
接続
Vない+ずにはおかない
Vない+ではおかない
例外で「する」は「せずにはおかない」になります。
解説
この文法は「話し手の決意、意欲」を表す場合と「自発」を表す場合とで分けて考えた方がわかりやすいでしょう。
また、どちらの場合でも「ずにはおかない」は「ないではおかない」より少しだけ硬い表現として使われます。
決意、意欲
「~しないでおくということは許さない、必ず~する」という話し手の強い「決意、意欲」を表します。
動作動詞や動詞の使役形に接続し、多くの場合は行為の受け手が存在し、その受け手にマイナスの影響を与える攻撃性の意味を有する動詞が接続します。攻撃性を有する動詞とは「攻める」「逮捕する」「仕返しする」「殴る」「罰を与える」「白状させる」「謝らせる」などがあります。
せずにはおかない。
警察官として、両親を殺した犯人を逮捕せずにはおかない。
多くの場合は、受け手にマイナスの影響を与えますが、プラスの影響を与える場合でも使われることがあります。
ずにはおかない。
今まで色々お世話をしてくれた彼が困っていたら、助け多くの場合は、受け手が存在しますが、受け手がいない場合も使えます。
ずにはおかない。
一度最後までやると決めたことは最後まで貫か自発
「あることによって自然にある状況や心理状態になる」という「自発」を表します。
感情や心理状態を表す動詞と接続することが多く、感情を表す動詞と使う場合はほとんど「使役形」の形が使われます。
また、人が主語の場合は「決意、意欲」「自発」のどちらの場合でも使われますが、無生物主語の場合は必ず「自発」の意味で使われます。
せずにはおかないだろう。
新入社員の失礼な態度は、上司を怒らせずにはおかない。
主に感情の変化で使われることが多いが、「争いごとの発生」する場面でも使われることがあります。
ずにはおかない。
アメリカと中国の対立は、世界中の国々を巻き込ま某日本語テキストに、上記二つの使い分け方は「強い決意を表す文では主語は一人称。必ずそうなるということを表す文では主語は無生物または一人称以外」と記載、また、松岡知津子・岡本 智美(2015)「「~ずにはおかない」表現の用法と共起語 ― 新聞記事と文学作品との比較を通して ―」によると、「主語が人の場合は、「自発」および「意志」の用法のいずれも可能」と記載されている。
主語が人以外である場合は、意志を持つことが想定されないため、「自発」の用法になると考えられますが、主語が人の場合は、どちらの用法の可能性もあり、文脈で読み解かなければいけない場合があり、学習者にとっては非常に難しい文法かと思われます。
細かく分析すると主語を意識する必要はありますが、学習者には、「接続する主な動詞」「無生物主語かそうではないか」をポイントに教えた方がいいでしょう。
また、参考として、松岡知津子・岡本 智美(2015)によると、この文法は「無生物主語」が使われることが多く、用法としては「自発」の意味を持つ使い方が多いとされています。
対比文法
準備中
例文
決意、意欲
せずにはおかない。
あんなにひどいことを言われ続けたら、さすがに注意ずにはおかない。
コロナウイルスに感染しているにも関わらず、あらゆる場所に外出している人は罰を与えずにはおかない。
昔、自分をいじめた彼らと再会したら、きっと殴ら自発
せずにはおかない。
彼の歌声は観客を感動さずにはおかない。
彼女の撮影した動物達の写真は、人々の心を動かさずにはおかない。
小さな子供の勇気ある行動は、世界中の人達に影響を与え