日本語教師のコラム

反抗期の日本語学習者

反抗期の日本語学習者

背景

現在、両親の都合などで日本で生活する外国人児童(小学生、中学生、高校生)は年々増え続けています。
その中で、日本語の学習が必要であるとされている児童は現在50,000人を超えています。

そのため、学校に通いながら、日本語学校や日本語ボランティアなどに定期的に通う児童も増え続けています。
しかし、そういった児童の数は多くはないので、他の大人と一緒に授業を受けてもらうケースが多くなるかと思います。

子供(子供と大人の間)である学習者が大人と一緒に学習するケースでは、教師も注意しなければいけない点があります。

そもそも、一回り以上も年が離れている日本語学習者と一緒に学ぶことを決めた本人はとてもすごいと思います。
私が同じ立場であれば、絶対にそんな場所で勉強したくありません(笑)

そのような児童を受け入れる場合は、まずそこからしっかりと評価してあげたいものですね。

本題に入りますと、このような児童がいるクラスでのお話しです。
そして、この児童は「反抗期」であることもイメージしてみてください。

ある日、クラスを担当している教師がこんなことを言っていました。

「指名しても答えない」
「授業に集中しないで携帯ばかりいじっている」
「子供だから・・」

まだクラスを担当したばかりの話です。

まだ何も問題を解決するアプローチをしておらず、子供だと言うことを理由に批判しているようにしか聞こえません。

中学生なんてそれが当たり前とも言っていいと思います。

大人でもそのような学習者もいますし、「子供」という理由で批判を並べるのは聞いてて心苦しいです。

先に述べたように、一回り以上年が離れた大人達と同じクラス、そして異国の地で学んでいる。
それだけでとてもすごいことで、本人が一番辛いと思います。

今後、このような児童の日本語教育も整備していく必要があると思います。

日本語教師は「日本語を教えること」だけが仕事ではありません。
学習者一人一人の背景を理解した上で寄り添っていかなければなりません。

外国人児童生徒教育の現状について

現在、日本語学習を必要とする児童の数は年々増え続けていると記載しました。
しかし、それでもそのような児童に日本語を指導したことがある教師はまだ少ないでしょう。

以下の文部科学省から出ている資料を見ていただくと、そのような児童の人数や現状ある問題に対する主な動きがよくわかるかと思います。

外国人児童生徒等教育の現状と課題(令和2年3月)

文部科学省総合教育政策局
男女共同参画共生社会学習・安全課

今後、日本語教師がこのような児童を指導する場面は増えてくるかと思います。
その際は、ぜひ一度この記事に目を通してみてください。

反抗期とは

まず、反抗期とはいったい何なのかを確認しておきましょう。
多くの皆さんが経験してきていることですが、大人になると当時のことをあまり覚えていないという人も多いのではないでしょうか?

以下、Wikipediaの記事を抜粋いたします。元記事はこちら

反抗期は、精神発達の過程で、他人の指示に対して拒否、抵抗、反抗的な行動をとることの多い期間のことである。子供から大人へと成長する過程で誰もが通るものとされている。
反抗期は2回あるとされ、幼児期の反抗期を「第一反抗期(第一次反抗期)」、思春期の反抗期を「第二反抗期(第二次反抗期)」としている。どちらも個人差が大きい。

今回の件は、「第二反抗期」についてですので、続けて「第二反抗期」の詳細を抜粋いたします。

個人差はあるが、小学校高学年〜中学生の思春期の時期に起こるとされている。文部科学省では精神的な自立の手がかりを得るとされる中学2年生の頃と定義している。思春期では急激な体の成長や変化に心の成長が付いていくのが難しいとされ、先輩後輩といった上下関係など学校での生活環境の変化などからも反逆心が芽生え、不安やストレス、不満、矛盾、自己主張などといったやり場のない思いから反抗期が生じる。
中には反抗期がなかったり、表に見せない子供もいる。反抗期はマイナスイメージが多く、ないことはいいともされるが、アイデンティティ確立のためには欠かせないともされ、思春期に反抗期が全くないと一人の人間として自立できないということも懸念されている。

ここに記載されている通り、反抗期というのはアイデンティティを確立するためにはなくてはならないものとも言われているんです。
その反抗期を教育者の立場から単純に否定するのはあってはならないことですよね。

教師の問題点

反抗期の児童により発生する問題は、決して本人だけに非があるわけではありません。
先に述べたように、反抗期は人間として必ず通る道なので、それを本人のせいにするのはよくないですよね。

今回は、日本語教師としてどのように接するべきかをお話ししたいと思うので、「学生」「教師」の関係性で話をしてみたいと思います。

そもそも、教師が学生についてネガティブな発言をすることは問題ないと思っています。
教師も人間なのでストレスや不満も溜まりますから、それを外に吐き出すことは大事ですよね。

問題となるのは吐き出すだけで、それを解決するための行動が伴っていない場合です。

一般的には、問題があれば論理的に解決していく必要があります。

ただ、今回のように相手が「反抗期の学習者」となったら話は別です。

論理的に話を進めても受け入れてもらえません。

反抗期の児童はしっかりと信頼関係を築けなければ「うざい」としか思ってもらえません。
特に若い教師の場合、相手からも幼く見られ、幼児性のある授業だと更に関係を築くことが難しくなります。

日本語教師は学習者に対して、まるで子供を指導しているかのようなスタイルで授業する人も多いです。要するに幼児性のある授業になりやすいです。
そうすると、「この先生は幼稚だ、私と変わらない」と思われ、怒られても怖くない存在となり、「なめられた存在」になってしまいます。

このようなケースは中学校などでもよく起こり得るものらしいです。

ただ、日本語教師は公務員ではありません。
日本語教師は児童(その両親)からお金をいただいて、その対価として授業を行っているんです。

そのため、間違っても何もアプローチ無しに両親に問題を投げかけるようなことはしてはいけません。
その時点で日本語教師としてのプロとしては失格となります。

さて、それでは日本語教師のプロとして、どのように対処するべきか紹介していきたいと思います。

対処法

信頼関係を築く

特別扱いするというわけではありません。
普段から、クラスを居心地の良い環境に作り上げようと意識していればそんな難しいことではありません。

・名前を呼んで挨拶をする。
・休み時間に声をかけてみる。
・関心のあるテーマを授業に盛り込む。
・授業外で連絡をとってみる。

など、たくさん挙げることができます。

信頼関係を築く会話をすることが苦手な人は、学生が答えやすい質問、「はい」「いいえ」で答えられるような質問をたくさんしてみてはいかがですか?
相手から返ってくる返事は「はい」「いいえ」だけかもしれませんが、「先生は私に興味を持ってくれている」としっかりと自覚させることができ、だんだん相手から話してくるようになるでしょう。

1日で変わるなんて思わないでください。1週間~1ヶ月時間をかけて信頼関係を作っていきましょう。

「反抗期」の時期の児童は、心を開いてくれればとても素直に言うことを聞きますし、何でも話してくれるようになります。

そんな子がクラスにいたら、教師なら「私が変えてやるんだ!」ぐらいの気持ちを持って対応してほしいと思います。

大人の一人として接する

反抗期が起こる時期は、大人と子供の間の時期です。
身長や体格も両親に近づき、さまざまな面で大人と対等だと感じるようになってきます。
大人と対等だと感じている学生に対して、子供のように扱ったらそれは嫌な気持ちになりますよね。
一人の大人として扱い、考えを尊重してあげることが大事です。

日本語の先生は例え年上で人生経験が豊かな人に対しても、日本語が片言だというだけで子供に接しているような対応をしている場合が多いです。

よく自分のことを「○○先生」の呼ぶ教師が多いことからも言えますね。
「先生」はもともと目上の人に使う言葉なので、それを自分の名前につけて呼ぶことはおかしいですよね。

詳しいことは以下の記事を見てくださいね。

自分を先生と呼ぶこと 前置き 皆さんは日本語教師の養成講座や勤務している日本語学校でこんなこと言われたことがありますか? 「自分のことを「先生...

親と相談をする

本人にさまざまなアプローチをしてみて、それでもダメだったら、親と相談してみることを考えましょう。
一番やってはいけないのは、「親に子供を注意してください」と頼むことです。
特に思春期の父と娘、注意なんかしたらどうなるか想像がつきますよね。
日本語の指導がうまくいかないどころか、家族関係まで壊しかねません。
親に注意をしてもらったり、責任を求めるのではなく、「お子さんのために一緒にどうするか考える」というスタンスを持つことが大事かと思います。

どうしようもない場合

実際問題、一教師が問題を解決できるかというとそんなに簡単ではありません。
私達が立ち入ることができない家庭環境の問題もあるかもしれません。
ただ、義務教育などとは異なり、日本語学校の場合は、少なくとも親と子が自分の意志を持って自主的に通っているケースが多いので、一教師との信頼関係で解決できるケースは多いと思います。

色々とアプローチしてダメなら、上司に相談してみましょう。
ちなみに何もしていないのに、文句だけ言うのは上司の時間を奪うだけです。

日本語教育業界は非常勤講師が多く、クラスでちょっとした問題があれば自分で解決しようとせず、学校に「何とかしてください」と申し出る教師が多いと他校の常勤講師の方々からもよく聞きます。
教壇に立つ以上、非常勤講師だとしてもクラスを取りまとめるプロの教師ですので、学習者の一番身近にいる教師として学生を支えていってもらえたらと思います。

まとめ

いかがでしたか?

これから皆さんも日本語学習を必要とする児童に日本語を教える機会が増えていくと思います。
その中には、本記事で書いたような「反抗期」の児童も含まれると思います。

個々の教師が学習者の立場になって考えることは大切ですが、学校としても今後このような学習者が増えていく中で、しっかりとした教育制度を整えていかなければならないと感じています。

反抗期の児童に日本語を教える場合の気を付けるべきことを以下にまとめます。

反抗期の児童の対処法

1.信頼関係を築くこと
2.大人の一人として接すること。
3.親と相談をすること。

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