日本語教授法

日本語教授法

日本語教授法

日本語の教え方って?

日本語教育に携わったことがない方にとってはなかなかイメージがつきにくいと思います。
よく以下のようなことを言われます。

よくある質問

外国語で日本語を教えるの?

専門用語がたくさんあって難しそう。

どんな風に授業するの?

これらの質問について回答しながら日本語の教え方について簡単に説明してみたいと思います。

外国語で日本語を教えるの?

この答えはYESでもあり、NOでもあります。
一般の国内にある日本語学校は日本語で教えています。

「日本語を日本語で教えること」を直接法と言います。
日本語学校にはさまざまな国籍の学生がいるので、直接法で教えるのは必然ですよね。

国外の学校なら、学生の共通言語は一緒なので、日本語を外国語で教える」、すなわち間接法で教えることもありますが、やはり「直接法」で授業を行っている学校が多くなっています。

そのため、外国語ができなくても、日本国内外で日本語教師として活躍することはできるんです。

ただし、日本語教師にとって学生達の母語について知ることはとても大事です。
その言語の「発音」「文の作り」「助詞の有無」など理解することで、どうして学生がその間違いをするのかも気づきやすくなります。

そのため、「外国語ができなくてもいい」とは思わず、学生達と一緒に語学を学び続けることは教師にとって必要なスキルとなると私は思います。

専門用語がたくさんあって難しそう

日本語教育に興味を持って、自分で色々と調べてみると聞いたことがない言葉が書かれていて、それだけで「難しそうだな」という印象を抱いている人がたくさんいます。

例えば、日本語教育で良く使われる以下のような用語をご存知ですか?

日本語教育の専門用語

イ形容詞/ナ形容詞
動詞の1グループ/2グループ/3グループ
動詞の「て形」

これだけ見ると、聞いたことない言葉が多くて難しそうだと感じますよね。

しかし、授業中に扱う専門用語は限られていますので、すぐに覚えることができます

まずは、上記の用語について説明しますね。

イ形容詞/ナ形容詞って?

私達が学生の時に学んだ「形容詞」「形容動詞」のことを日本語教育ではそれぞれ「イ形容詞」「ナ形容詞」と呼んでいます

イ形容詞

イ形容詞:名詞を修飾するときに「~い」の形になる形容詞のこと。
例:高い、安い、おいしい、まずい、良い、悪いなど

名詞修飾した場合

高い時計、安い本、おいしいパン、まずい料理、良い先生、悪い天気

ナ形容詞

ナ形容詞:名詞を修飾するときに「~な」の形になる形容詞のこと。
例:元気、きれい、暇、ハンサム、静か、にぎやかなど

名詞修飾した場合

元気な人、きれいな先生、暇な時間、ハンサムな彼氏、静かな部屋、にぎやかな街

動詞のグループ1/グループ2/グループ3って?

日本語教育では、動詞の活用の仕方から動詞を3つのグループに分かれています。

動詞の3つのグループ

1グループ:五段活用
2グループ:上一段活用、下一段活用
3グループ:カ行変格活用、サ行変格活用

活用とは:飲む、飲まない、飲んだ、飲まなかった、飲めば・・などの形の変化のこと。

グループによって、活用の仕方が変わるのでとても大事なことです。

「この動詞は何グループですか?」という質問は初級を担当している先生なら毎日のように言っていると思います。

五段活用とか上一段活用とか・・・難しい言葉は覚える必要ないので簡単ですね!

動詞の「て形」って?

動詞の「て形」というのは、「~て」の形の動詞のことです。

例:食べて、飲んで、寝て、話して、歌って

「て形」は私達が学生の時に勉強した動詞の活用の「連用形」の一部とも言われており、日本語教育特有な活用です。

「て形」は日本語教育の中でもとても大事な形です。

日本人は意識することがないと思いますが、私達は生活の中でこの「て形」を使った文法を多用しています。

「て形」を使った文法

依頼:~てください
進行:~しています
接続:~して、~して、~します
準備:~ておきます
許可:~てもいいですか
など

そのため「て形」をしっかり使えないと上手に日本語を話すことができません。

「て形」には特別なルールがあり、1グループの動詞は特に複雑です。

辞書形(辞書で調べた時に出てくる形のこと)の末尾によって変化が異なります。

1グループの動詞の特別なルール

「う」「つ」「る」⇒「って」
例:歌う⇒歌って、立つ⇒立って、座る⇒座って

「ぶ」「む」「ぬ」⇒「んで」
例:呼ぶ⇒呼んで、読む⇒読んで、死ぬ⇒死んで

「く」⇒「いて」
例:書く⇒書いて、浮く⇒浮いて、吐く⇒吐いて

「行く」は特別で「行って」になります。

「ぐ」⇒「いで」
例:泳ぐ⇒泳いで、騒ぐ⇒騒いで、はしゃぐ⇒はしゃいで

「す」⇒「して」
例:話す⇒話して、移す⇒移して、回す⇒回して

学生はもちろん、日本語教師もこのルールはしっかり暗記しなければいけません。

大変に感じるかもしれませんが、このような日本語教育特有な用語やルールはそんなにたくさんはないので、すぐに覚えることができますよ。

どんな風に授業を進めるの?

クラスの人数、レベル、国籍などによって授業の進め方は異なりますが、養成講座の実習でも行う一番スタンダードな授業の流れを紹介します。

STEP1.ウォーミングアップ

クラスの雰囲気づくりのため、前回の復習やこれから勉強することに関係があることをネタにして学生達と自由な会話をしたりします。

STEP2.導入

これから勉強する文法を使った会話のシチュエーションを学習者に実際に見せる。(3つ程度)
表現力を出して、学習者の印象に残るような導入を見せることが大事です。

STEP3.ポイント説明

導入で見せた文法の意味、ポイントを説明する。

STEP4.練習(変換練習、代入練習、完成練習、QA練習など)

色々な練習方法がありますが、徐々に文を長くしていき、QA練習(対話練習)まで行うのが一般的です。
テンポ良く、学習者にたくさん発話させることが大事です。

STEP5.アクティビティ

会話練習までで終わる場合も多いですが、実際に勉強した文法はもちろん、学習者が今持っている日本語力を使って、自由度が高い状況で日本語を使ってもらいます。
ゲーム性を取り入れたり、やり方は教師によって色が出てくるところだと思います。

補足

この記事に書いたような日本語教育特融の用語やルール、授業の流れを覚えることが、日本語教師をする最初のハードルになると思います。
さまざまな学生がいるクラスの中で、わかりやすくテンポ良く教えられるようになるにはそれなりの経験が必要となります。
また、クラスのレベルが上がれば、文法や語彙の細かい意味の違いなどの知識も必要となってくるので、経験と合わせて、自分で日本語教育の知識を習得していく努力も必要となってきます。
しかし、一般の日本の方でも上記のような日本語教育の基本的なルールを知るだけで、日本語を勉強している外国人の十分な力になってあげることができます
ぜひ、身近に日本語を学んでいる外国の方がいる方は、ここで紹介した日本語教育のルールを学んでみてくださいね!

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